ゲームセンターの閉店が止まらない。
近所のゲーセンが潰れた等ゲームセンター業界はあまり良い話題はないですね。
昔遊んでいた店がもうなくなってしまったという経験した方も多いのではないでしょうか?
平日にゲーセンに行くとガラガラなお店もよく見かけますよね。
ゲーセンが年々減少しているという話を聞いたことある方は多いと思います。
このまま全部なくなってしまうのではないか?と不安になっている方もいるでしょう。
私はゲーセンで10年以上働いていたので、近隣含め色んなゲーセンが閉店していったり、働いていた期間の売上推移や客数の動向についてもずっと見てきました。
実際売上ってどうなっているの?儲かっているの?赤字なの?気になりますよね。
そこで今回は、その衰退傾向にあるゲームセンターについて、元ゲーセン店員の私の経験と、実際のデータをもとにゲーセンの今後について考察していきます。
目次
店舗数と市場規模から見たゲームセンターの推移
ゲームセンターは年々減少傾向にあります。
平成30年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締まり|警察庁の発表資料によると、
平成30年のゲームセンター店舗数は4139店舗になっている、平成26年の4年前と比較すると、約23%も減少しています。
これは風適法許可されたゲームセンターの実数であり、
これが適用されないゲームコーナー(10%営業)の店舗数は含まれていません。
スマホアプリの台頭により、ゲームセンターで使うお金が減る事で、
年々ゲームセンターが閉店していっているとされている。
ここ10年でゲームセンターの店舗数が半分になっているというのも見たことがある方も多いのではないでしょうか。
一方でアミューズメント産業界の市場規模で見た場合、
アミューズメント市場実態調査H28年度要約データ|JAIAによると、
平成18年度は1兆円に近い規模であったゲームセンター市場が、平成28年には6000億円と大幅な減少となっています。
一方で平成26年は5833億円だったものが、平成28年には6194億円に伸びていいます。
同資料の設置台数別の店舗数の状況を見ると、平成18年度は2万3千店舗あったものが、平成28年には1万4千店舗と大幅な減少になっています。
特に設置台数20台以下の店舗の減少が顕著で、約半数となってしまっているのです。
しかしゲームセンターの1店舗あたりの売上で見た場合、平成18年度と比較すると、逆に増えているのです。
つまり、ゲームセンターの店舗数は少なくなり、ゲームセンターの市場規模は小さくなっているが、1店舗当たりの売上高は増加傾向にあるという事です。
中小規模の力のないゲームセンターが淘汰される一方、力のある大きなゲームセンターは閉店したゲームセンターの顧客を吸収する事で売上を伸ばしています。
この事から、ゲームセンターの数は減ったとしても絶滅する事はないという事がわかります。
最近のアーケードゲームから見るゲームセンター
低迷傾向にあったアーケード機、どれが発売されてもパッとせず、好調な音ゲーも新しい機種が出ては消えを繰り返していました。
そんな中2015年「チュウニズム」がヒットし、さらに2016年4月に「艦これアーケード」が稼働開始し、これが大ヒットしました。
これにより低迷していたアミューズメント市場は盛り返し始めました。
さらに同年「ラブライブ!スクフェスAC」もヒットし、このままゲームセンターが盛り上がっていくかに見えました。
しかしそれ以降大ヒットするようなアーケード機が登場しておりません。
「三国志大戦」「ベースボールヒーローズ」「星と翼のパラドクス」「FGOアーケード」「WCCFFOOTSITA」もさほどヒットせず稼働を続けています。
ここに名前が上がらない、発売時点で全く稼働しなかったゲーム機も多々あります。
アーケードゲームの新機種が発売されるのは大事な事なのですが、
ヒットしないものを出されてもゲームセンターはツライのです。
なぜなら本体価格が高いからです。
最近は大型タッチスクリーンや、カード印刷用のプリンターを搭載したり、プロジェクターが付いていたり等、一台何百万もするゲーム機がほとんどです。
これを購入してもゲーム機台がペイできないと大赤字なのです。
正直私は、このゲーム機絶対売れないだろうなって思うものがたくさんありました。
案の定売れなかったのに、大きいゲームセンターでは4台や8台設置します。
私がゲームセンターで働いていた時に、「なぜ売れないゲーム機を買うのか」聞いた事がありました。
その返事は、「ゲーム機を買わないとメーカーがゲームを作らなくなるから」でした。
ただでさえアプリの方が開発費が低いのでそちらにシフトしているのに、
ゲームセンターがゲーム機を買わないとメーカーが開発費を割けず、
ゲームセンターは新しいゲーム機がなくなり古いゲームだらけになり、衰退してしまう、という考え方でした。
確かに言われる事もわからなくはないのですが、
なぜ面白くもないゲームを高い金出して買わなければならないのでしょうか。
お客様は新しいゲームを楽しみにして遊びに来たのに、
面白くなくてガッカリした場合、ゲームセンター離れが余計深刻になるのではないか、と考えます。
アプリのようにインストールするだけではないのですから、
メーカーの為に赤字を垂れ流すのは自らの首を締めるだけなのではないでしょうか。
発売されたものの爆死してしまったゲームはこちらで紹介しています↓
若者のゲームセンター離れ
若者のゲームセンター離れが深刻、といった言葉をよく聞きます。
ソシャゲなどのアプリが台頭し、据え置きゲーム機の性能の向上、
ネットワーク環境の充実化により、わざわざゲームセンターに行く必要がなくなったからと言われます。
それが大きな要因であるのは間違い無いのですが、
ゲーム開発やゲームセンターの運営が、今の若者の考えとズレているのも大きな要因であると私は考えます。
玄人向け、今現在遊んでいる人に向けてゲームセンターが進化していた結果、新しい世代が育っていないのです。
格ゲーが顕著ですね、技の読み合いとフレーム単位での攻防により初心者お断りな環境になっています。
さらに今のソシャゲで育った世代は、「ゲームを買って遊ぶ」のではなく
「ゲームはタダで遊んで、強くするのに(ガチャ)お金を使う」といった考えがスタンダードになってきています。
最近のゲーム機は初回無料という機能があるゲーム機が多いですが、
以降お金を使い続けようと思う魅力をそれだけで与えられるかというと難しいと思います。
フリューは女子高生のニーズや要望を聞き入れ改善し続けた結果、
プリクラ産業は盛り返し、一人勝ちの環境を作り上げました。
他のゲーム機を作る企業や、ゲームセンターはこういった考え方が必要なのではないでしょうか。
今後のゲームセンター
今売上が伸びているのは、「UFOキャッチャー」「音ゲー」「体感機」です。
その他の分野は下がり続けています。
「VR」も期待されましたが、思ったほどの伸びはありません。
そこから見えてくるものは、「ゲームセンターでしか遊べない」且つ「またすぐに遊びたくなる」です。
どちらかだけではダメなのです。
VRを例に出すと、一回遊んでみたら、次はいつやりたいかって事です。
明日ですか?来週ですか?来月ですか?もっと先でいいやってなりませんか?
1回で遊びきれないほどたくさんのゲーム機があれば良いのですが、そんなに種類は現状ありません。
要は1回遊ぶと満足してしまうのです、これでは売上は伸びませんよね。
アーケードゲームはまたすぐに遊びたくなる機械が多いのですが、据え置きゲーム機で発売しているものもあり、家でやればいいやってものもたくさんありますよね。
家で遊べばタダなものを、お金を払ってわざわざやる人は少ないですよね。
ですので2つの条件を満たしている「UFOキャッチャー」「音ゲー」「体感機」などのゲーム機が売上を伸ばしているのです。
UFOキャッチャーはプレイする事よりも獲得したドキドキ感がたまらない為、そんなに欲しくない景品でも取れそうに見えるとついプレイしてしまいます。
音ゲーや体感機が好調なのは一人だけではなく複数人で遊べるのが大きな要因です。
娯楽の多様化により時間を潰す手段は増えましたが、複数人で気軽に遊べる環境というのは実はそんなに多くないのです。
カラオケだったり、ボウリングであったり、あとは・・?
そこで複数人で遊べるゲームセンターが選ばれるのです。
マリオカートやホッケー・バスケなど設置されていたらみんなでプレイしますよね。
ラウンドワンのスポッチャが好調なのはその為です。
さて、前置きが長くなりましたが、ゲームセンターの今後についてお話します。
私が考える未来のゲームセンターは、
「時間制などの入場制によるアーケードゲーム機のフリープレイ化」
「人気のあるUFOキャチャー・音ゲー・体感機に特化」
「アプリと同じような基本プレイ無料のゲーム機の開発」
等にシフトしていくのが生き残る方法なのではないでしょうか。
または、ゲームセンター以外の付加価値で集客するという事ですね。
イオンモールやラウンドワンなどがこれにより成果を上げています。
まとめ
いかがでしたでしょうか、ゲームセンターの現状と今後についてお話しました。
ゲームセンターの数は減っているものの、1店舗あたりの売上は上昇傾向にあります。
しかし現状のままではなく何か進化や方針転換しなければ、
先はそんなに明るくないのではないでしょうか。
レトロなゲームセンターも良いでしょう、でもそれは1ヶ月に何回行きたくなるか、という事なのです。
それを複数店で取り合っては意味がないのです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。