なぜゲームセンターは不毛な価格競争という殴り合いをするのか

iwana
どうも、元ゲーセン店員のiwanaです

ゲームセンターで遊ぶ時、そのゲームセンターを選ぶ理由は何ですか?

 

「近いから」「料金が安いから」「メンテナンスが良いから」

「綺麗だから」「規模が大きいから」「目当ての機種があるから」等の様々な理由があると思います。

 

普段ゲームセンターで遊ばない方は、近かったから、そこにあったからが大きい要因だと思います。

イオンモールなどの複合施設で遊んだ際に、ゲームセンターがあったら入ってみたくなりますよね。

 

そうなんです、ゲームセンターは立地がほぼ全てを決めるといっても過言ではないでしょう。

 

しかし立地がほぼ同条件である場合、ゲームセンターは他のゲームセンターよりも優位性を出すために、

「価格」で勝負を仕掛けてくるケースが多いです。

 

今回はそんな価格競争による弊害について語っていきます。

 

なぜ価格競争するのか

ゲーム機は基本、メンテナンスの程度の差を除けば、ゲーム機が提供するサービスはどこの店舗であっても同じなのです。

A店舗であっても、B店舗であっても、同じゲーム機で遊ぶ場合、大差がないという事です。

 

そこでゲームセンターは他店よりも自店を選んでもらう為に、

わかりやすい施策として「値引き」を行うのです。

100円1プレイを、100円2プレイにしたりといった事ですね。

 

通常より長く遊べる分、お客様はこちらを選んで遊びに来ます。

しかし、仮にA店舗が値引きを行った場合、すぐに近隣のB店舗も対抗して値引きを行うのです。

 

結果的に両店舗とも同じ価格設定になるので、値引き前と結果は変わりません。

そこでA店舗はさらなる値引きを行い、B店舗はそれに追随し、それが出来ないC店舗は淘汰される事になるのです。

 

そうやって資金力のあるゲームセンターが生き残り、資金力のないゲームセンターはどんどん閉店に追い込まれていくのです。

しかしこれには多数の弊害があります。

通常の商品販売における価格競争というものは大事ではありますが、ゲームセンターの場合は害である事が多いのです。

 

価格競争による弊害

ここからはゲームセンターが価格競争を行った際の弊害についてお話しします。

スーパーとは違う

スーパーでは「玉子99円!」等の目玉商材を安売りする事で集客力を上げ、

他の食材も購入していただく事で利益を上げていくのですが、ゲームセンターの場合は違います。

 

ゲームセンターで扱っている商材は、UFOキャッチャー等を除くとほぼ全て目的客向けの商材なのです。

例えば音ゲーのチュウニズムをやるお客様は、チュウニズムを遊び終わるとそのまま帰ります。

他の音ゲーやゲームをするのは稀です。

スーパーで言うと、玉子だけ買うのです。

 

その為、チュウニズムを100円2プレイにしたとしても、チュウニズムをやる人はチュウニズムしかやらないのです。

さらに目的客に向けた安売りを行うと、以下の弊害が併発します。

 

待ち時間が長くなる

台数が複数あるある店舗なら良いのですが、2台4台程度ですと待ち時間が必ず発生します。

通常ならば1プレイで交代ですが、2プレイ分待たなければならない為、待ち時間がその分長くなります。

 

通常音ゲーですと1プレイ約10分、2プレイだと20分ですね、それが待っている人数分加算されます。

今は待っている時間はスマホを使ったりして時間潰しが出来ますが、

私は並んでまで遊ぶくらいなら、1プレイ100円の台でいいから並ばずにすぐ遊びたい派です。

 

いつも並んでいるなら空いているゲームセンターに行こうって思います。

 

飽きが早くなる

スマホアプリもそうですが、最近は1個のコンテンツに対しての消化ペースが早すぎます。

すぐ飽きるのです。

 

バージョンアップで次々とコンテンツが追加提供されればいいのですが、それほど頻繁ではありません。

その為、100円2プレイにすると単純に考えて2倍のペースで消化されてしまうのです。

ゲームの寿命を縮める事をゲームセンター自らが行うのはおかしくありませんか?

 

故障が早くなる

ゲーム機はプレイされ続けると大なり小なり故障します。

 

ボタンの中に入っているスイッチが使用限界数を超えて反応しなくなったり、

画面が表示されなくなったり、PCが壊れたりと様々なエラーが発生します。

 

基本的にそれはプレイ料金で得た利益で充てるのですが、

100円2プレイにする事で故障が発生する頻度が高くなり、修理費が高くなっていってしまうのです。

 

メンテナンス費がかさむものでわかりやすいのが、音ゲーのjubeat(ユビート)です。

これは各パネルの中にコンタクトラバーというゴム製のボタンがあるのですが、これが結構な頻度で破れます。

1台分のフルセットがおよそ6000円(純正品だと1万オーバー)くらいかかりまして、通常ですと約1ヶ月に一度全交換が必要になります。

これの交換にも1台につき30分〜1時間程度かかります。これを台数分実施します。

 

100円2プレイですと2週間に一度くらいの頻度に上がります。

メンテナンスする側は地獄ですね。

 

さらにメンテナンス不足による客離れも発生します。

ゲーム機が普通に遊べないというのは欠陥でしかありません。

 

100円2プレイは利益がほぼない

ゲームセンターはゲーム機を設置する場合、

「メーカーから購入するゲーム機代」と、「1プレイ毎にかかる通信費」「メンテナンス費」がかかります。

細かく言うと土地代や人件費諸々かかりますが、この場合省きます。

 

ここで厄介なのが1プレイ毎にかかる通信量です。

コナミ税だのセガ税だの言われてますが、

1プレイする毎に約30円程度(メーカーや機種により異なる)メーカーに通信量を支払わなければなりません。

 

つまり100円1プレイの場合利益は70円ですが、100円2プレイの場合利益は40円になります。

さらにここから、ゲーム機購入代、メンテナンス費等の経費諸々と、ゲーム機の消費税はゲームセンターが負担している為、消費税が引かれます。

 

はい、やればやるだけ損ですね!

 

さて、この損益はどこで補填するのでしょう・・・

UFOキャッチャー・・・あっ(察し)

 

そもそもそんなに遊ばない

娯楽が多様化している現代、1つのゲームに数時間も費やす人は少なくなってきています。

100円2プレイにしたからといって、より長く遊ぶかというとそうではなく、300円も使えばヘトヘトになります。

通常値下げというのは薄利多売が基本であるのに、薄利なのに少売なので、やる意味がないと思います。

 

結局は利便性で選ぶ

いくら価格が安かろうと、電車や車で30分かかるなら、すぐ近くのゲーセンで遊びます。

すぐ近くに競合店舗があったとしても、安売りしている方は並ぶので、安売りしていない方で遊びます。

安売りするとそもそも利益がないので、結果的に安売りしていない方が利益が高いのです。

 



それでも価格競争をし続ける理由

安売りをする事で他の競合店の顧客を奪い、

そしてその競合店が閉店すれば独り勝ちになるので、殴り合いを始めるのです。

 

しかし、上記の弊害により力の弱い店舗ならともかく、全国展開しているようなゲームセンターはまず潰れません。

私は上司の命令で曜日毎に100円2プレイや全日100円2プレイなどやらされてきましたが、

近隣にあった競合店は何一つ潰れませんでした。

 

そこにあったのは、メンテナンス不足によるクレームの連発と、

客離れ、治安の悪化、設定変更の時間とメンテナンスの時間とクレーム対応の時間の浪費といったような、

何一つ良い結果はありませんでした。

 

ここに書いたような弊害について散々上司に訴えましたがダメでした。

目先の売上だけ見ていて、利益や今後の利益、

ましてや顧客の満足度について何も考えていない会社の方針に辟易としました。

 



まとめ

いかがでしたでしょうか。

みなさんが遊ばれる地域のゲームセンターはこのようになっていないでしょうか。

もちろん安いのが悪いと言うのではありません。安くてもまともに遊べないのでは意味がないのです。

お客様は満足のいくサービスに対価を支払うのです。

 

満足のいくサービスを提供して利益を享受するのが商売です。

安かろう悪かろうで本当に悪くなっていてはいけないのです。

 

100円2プレイなどの自分の首を自ら締めるやり方ではなく、

別の方法を考えるのがゲームセンターにとってあるべき未来の姿なのではないでしょうか。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

-ゲーセン情報